過去に頂いた質問に対するQ&A及び卒業生の採用状況

 過去に頂いたご質問に関することを述べさせていただきます。近年、大学組織・入試は煩雑化しており、大学や課程・コースを限定しないと厳密なことを述べることはできません。ここでは特定なケースに言及するのではなく、あくまでも一般的ケースに関する個人的解釈(Q&A)を示します。ご参考程度にご利用ください。

山口大学 教育学部 教科教育コース 理科教育選修 PR
卒業生の正規採用状況
重松が所属する山口大学教育学部教科教育コース理科教育選修では、数多くの小学校、中学校理科、高校理科教員を輩出しています。以下に近年(ここ3年)の卒業生の正規採用実績を掲載します。ここで強調したいことは地元山口県に限らず、広域さらには小中高と幅広く正規採用されています。
近年の卒業生の正規採用実績(現役合格)
○山口県小学校教諭、○山口県中学校理科教諭、○山口県高等学校理科(生物)教諭、○広島県小学校教諭、○広島県中学校理科教諭、○愛知県中学校理科教諭、○神戸市中学校理科教諭、○神奈川県小学校教諭、○神奈川県中学校理科教諭、○神奈川県高等学校理科(生物)教諭、東京都高等学校理科(生物)教諭他
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近年の卒業生の大学院進学先
○山口大学大学院教育学研究科、○奈良教育大学大学院教育学研究科

Q. 高校で物理学を学習していない学生への指導はどうしていますか?
  物理学に   関する指導
A. 高校時に物理学履修・未修にかかわらず、大学入学時の個人の知識の差は大きいという現実があります。山口大学教育学部理科教育講座としては特別な補習(定期的な補習授業)は実施していませんが、複数ある物理学に関する大学講義(教育学部生が履修する物理学講義)において、高校物理基礎の範囲から段階的に内容・レベルを上げるよう心掛けています。ゆえに、物理学未修者でも十分、理解できる構成となっています。
 また、毎週定期的にオフィスアワーを設定し、各個人の質問に答えたり、個人指導を実施することによって、フォローアップしています。一方、よりレベルの高い物理学を学びたい学生には理学部と連携し、より専門的な物理学を学べる環境も整備しています。

 さらに、講義のみならず、希望者においては小中高等学校で扱う教材開発やそれを用いた実験を通じて、物理学の基礎を実践を踏まえて深く理解できるようにも務めています。
これらの情報の一部は以下のホームページで公開しておりますので、ご参照ください。
     URL: http://shige.edu.yamaguchi-u.ac.jp/
また、具体的な質問がございましたら、電話やメールでお気軽にご連絡頂けると幸いです。
      電話: 083-933-5343
      E-mail: shigema@yamaguchi-u.ac.jp    重松宏武(物理学分野担当)

Q. 近年、一部の大学の教育学部において個別学力検査に一括入試を導入していますが、各選修(教科)による
  個別入試との違いはどこにありますか?  (参考:山口大学教育学部は個別入試です。
教育学部の一括入試について
A. 確かに近年、一括入試により、所属選修(教科)に属さず教育学部生として入学し、在学途中に所属選修を決定する(1年後期または2年)といった方式を導入している大学が複数存在します。そこには入学後、大学カリキュラムを通じて多くの分野に接し、自分がなりたい教員像を明確にした後に各専門・専攻に配属するシステムとなっています。ここにはいろいろなメリット、デメリットがあります。これらに関して以下に述べます。以下の事項により個別学力検査の「一括入試と個別入試」の違いをご理解ください。なお、教科専門性の高い中高等学校教員養成に関するものとします。
一括入試のメリット(受験生側)
   ・ 選修(教科)ごとに10名前後という小窓口の個別入試より、選修の壁を無くして一括入試にした方が倍率が同じでも数十人から100名を超える合格者が生じる。ようは単純にイメージ的に受験生が受けやすくなります。(数字のトリックで合格者10名で受験生3倍の30名という場合と合格者100名で受験生300名の感覚の違いである。)
   ・ 入学後に実際に幼小中高の教育現場を見たり、教員養成に関する大学カリキュラムを理解した後に所属選修を決定できる。
一括入試のメリット(大学側)
   ・ 個別入試の場合、例え上位から入学しようとも選修(教科)間で合格者の成績にばらつきが生じますが、一括の場合、単純に成績上位の受験生を入学させることが可能である。つまり、学部全体としては成績優秀者が入学することになる。
 ・ 受験生及び入学者が確保できる。実は一括入試の場合、そのほとんどが学生の希望により入学後希望の選修(教科)に配属できます。これは、選修間格差(人数差)を生むことになります。極端には国語の教員養成専攻に全学生が希望し、他の専攻はゼロという可能性もあります。しかし、教育学部の本分は地域や日本の教員需要に即した教員養成です。一括入試の場合、その需要人数を無視しています。つまり、学部生き残りのためになりふり構わず、受験生を確保することができます。
個別入試のメリット(受験生側)
一括入試の場合、国語、数学、英語といった限られた個別学力試験を受ける必要があります。一方、個別入試の場合、各専攻の特徴を活かした受験ができます。つまり、自分の自信のある教科で勝負できます(例えば、山口大学教育学部理科教育選修を希望した場合は理科の試験を受けることが可能です)。
個別入試のメリット(大学側)
入学時から選修が決まっており、学生の方向性(教科専門性)が明確なことから入学時から専門を考慮した指導ができる。
大学を卒業すると教員免許は取得できます。しかし、教員採用試験に受からなくては正規採用にはなりません。その採用試験には一般教養以外にも専門教養等が問われます。つまり、教科専門の学力は重要なのです。入学時の個別入試によってその専門性の実力をはかることができます。
一括入試・個別入試共通の問題(受験生側)
共に言えることですが、点数だけを考えると一括入試だったら受かったのに個別試験のために落ちたり、またその逆の可能性も生じます。上で述べた数字のトリックに惑わされず、自分にとってどちらの入試が適しているかご判断ください。キーワードとしては「選修単位の小さいくくりか、学部またはコース単位の大きなくくりのどちらを好むか」、「受験科目に将来(教員)を見据えた教科が入っているかどうか」、「入学前に選修を決めるか、入学後に決めるか」等があります。

Q. 小学校の教員を希望していますが、小学校教員コースまたは小学校教員養成コース(初等選修)といった小学
  校教員養成専門の選修に進んだ方が良いのか、それとも国語や社会といった教科専門の選修に進んだ方が
  良いのでしょうか。
小学校教育コース、小学校専攻(初等専攻)について
A. これは個人の判断としか言い様がありません。さらに大学によっては教科専門の選修では中高の教員免許しか取得できないところもあり、この場合は小学校教育コースに入らざる負えません。ただし、大学によって多少システムが違いますので、ここでは、山口大学教育学部の教員養成に限定してお話します。
小学校教育コース
   ・ 小学校の教員養成を目的としたコースです。ここでその詳細は述べません。以下のホームページをご参照ください。なお、卒業要件として小学校教諭一種免許状を取得します
http://www.edu.yamaguchi-u.ac.jp/~esec/
教科教育コース (ここでは具体例で理科教育選修を例にあげます)
   ・ 山口大学教育学部の教科教育コースでは卒業要件として小学校教諭免許状、各選修(教科、たとえば理科)の中学校免許状、高等学校を取得します。とはいっても入学後に本人の希望により小学校を主とする履修または中高等学校を主とする履修を選択できます。ここでメリットは@:小学校教員を目指す場合、理科の専門性の高い教員になることができる。確かに小学校教員はあらゆる教科を指導する必要がありますが、1科目の専門性が高いということは非常に武器になります。特に理科をきちんと指導できる小学校教員は重宝がられます。A:小学校教員希望者にとっては中学校理科のカリキュラム、中高等学校教員希望者にとっては小学校のカリキュラムを理解することができる。これは将来、小中高一貫の教育を考慮した教育指導を行うことができます。B:入学後に小学校教員か中学校教員に進むか決定できる。
(備考)全ての都道府県の小学校ということは言いきれませんが、多くの地域で小学校においても理科部会等の教科部会があり、教員はどれかに所属します。つまり、小学校の先生も教科専門性が必要なのです。

あくまでも以下、個人的意見です
 近年、小学校教員を目指す受験生の小学校教育コース希望が増えています。確かにそのコースでは小学校特有の幅広い分野を指導してくれますので、良い点はあります。しかし、幅広過ぎて、各教科にかけられる時間(授業数)は非常に短いです。それならば、いっそのこと教科に重きをおいた履修をした方が、将来役に立つと考えています。
 また、小学校教育コースが各大学で増えているのはこの単科コースが受験生受けも良く、受験生の確保ができること、さらにはまだ小学校教諭であれば卒業後の教員採用数が多いことにその原因があります。具体的には、小学校では教科専門性も低いことから大学入試にセンター試験や個別学力検査(教科試験)に頼らず、小論文のみ・推薦やAO枠が多いことが特徴の一つです。教科の試験を受けず、小論文・自己アピール文・面接等で評価されることにより、受験生が殺到とまでは言いませんが、好むという現実があります。(ちなみに、山口大学教育学部でも小学校教育コース定員30名のうち20名がAO枠です)。
 しかし考えてみてください。「小学校のことしか知らないまたは中高等学校のことをあまり知らない小学校教員」と「小中高等学校のことを理解した上での小学校教員」、どちらがより深い指導ができますか?。さらに4年後は教員採用試験を受けないといけません。自分の実力を知る上でも入学時に自分を甘やかす必要は無いのではないでしょうか。


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